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ディズニーのプロパガンダ映画「わが友 原子力」について




合衆国情報局次長アポット・ウォッシュバーンは原子力平和利用のPR作戦を練っていた。
実の所アメリカ政府は同盟国や第三世界にこの政策を訴える事にかまけて、国内向けの啓発運動は
なおざりにしていた。そろそろアメリカ国民にも自国の持つ原子力活用技術の素晴らしさに目覚め
てもらわなければならない。ウォッシュバーンが考えたのは科学映画を作り、これをテレビ放送
しようというものだった。彼はアイゼン ハワー大統領に宛てた書筒のなかで「私たちはアニメーションに
ついてウォルト・ディズニーと友好的な話合いを持ちました。ちなみにディズニーの海外での顧客数は
どの同業者のそれを凌ぎます」と記している。原子力平和利用についての啓発的番組というヒントから、
この時期にディズニーが作った作品群の中で探すと、実写とアニメーションを交えた科学映画
「わが友 原子力」である。

ウォッシュバーンは世界中で十数億の人々の心を掴んでいるディズニーに目をつけ、ディズニーならば、
そのイマジネーションによってプロパガンダくささを感じさせずに原子力の平和利用がもたらす明るい
未来を描いてくれるだろう。核兵器を連想させる原子力の暗い負のイメージをアニメーションによって
滅殺して、神秘的で素晴らしさを秘めたものとして印象付けてくれるだろう。そう考えたのだ。

「わが友 原子力」は、ジェネラル・ダイナミックス社と海軍がディズニーに作らせ、合衆国情報局が
国内に広めようとした科学映画だった。このなかでホストを務めるウォルトは、原子力をアラジンの
魔法のランプの精になぞらえ、その力を発見した古代ギリシャ人、キューリー夫人、アインシュタインなどを
紹介しながら、それがどんな力を秘めているのかをわかりやすく解説していく。そして核兵器のほかに、
潜水艦、飛行機、発電所の動力に、また、放射線治療や農作物の成長促進などにも使われている例を
あげていく。最後に、この力は賢明に用いれば人類に幸福をもたらすが使い方を誤れば破滅をもたらすと
結んでいる。

映画では、冒頭の場面のあとにディズニーの大ヒット映画「海底二万里」からとった映像が続いていく。
原潜ノーチラス号がでてきたあとに同名の潜水艦が活躍する海底二万里」の場面を続けるのは巧みな構成
といえる。見方によっては、「わが友原子力」がそうであるように、「海底二万里」もまた原潜ノーチラス号
の宣伝映画だったといえなくもない。いずれにせよ、この「わが友原子力」が日本でも連鎖反応を起こし、
それが日本の大業文化に大きな影響を与える事になる。

当時のディズニーは「ピーターパン」など長編アニメーション路線を進める一方で実写ドキュメンタリー映画
にも力を入れていた。「わが友原子力」が科学映画というジャンルでの傑作のひとつであることは制作者
ウォルトからみても疑いようがなかった。日本テレビの社史「大衆とともに25年」によれば、ウォルトの
実兄ロイ・ディズニーが日本テレビ本社を訪ね「わが友原子力」をぜひNTVで放送し、日本の人々にも
原子力の実態を理解してほしい」といってきたとのことだ。まるで合衆国情報局の代理として申し出ているかの
ようだ。ディズニーが売り込んだ時点でアメリカ大使館と合衆国情報局が支援していたのは間違いない。
というのも、この映画の最後を、ウォルトはまさしく次のようなメッセージで締めくくっているからだ。

「使用目的によっては、原爆ー死の灰という恐ろしい原子力も、平和利用の開発により、原子力の三つの願い
である力と有益な放射能と生産力を人類にもたらす我々のすばらしい友人である」

「わが友原子力」は、1957年12月3日、日本テレビ本社で清水興七郎社長とディズニーのあいだで放送契約が
締結された。日本テレビは年も押し詰まった12月31日に高松宮を招いて試写会を開いた。その様子を讀賣新聞
で伝えていて、翌1月1日の放送と予告した。皇族も利用したこの宣伝の効果が大きかったためか、元旦という
一年で最高の時間枠だったためか、「わが友原子力」の放映は大成功を収めた。ディズニーと合衆国情報局も
これに気をよくしてこの番組を世界中に売り込む事に熱意を燃やした。原子力委員長としての正力 松太郎も
(読売新聞社主にしてプロ野球の父)この成功を利用した。1958年に発行された科学技術庁原子力局の
「原子力委員会月報」には原子力教育に役立った映画として「わが友原子力」が挙げられている。

                            有馬哲夫「原発・正力・CIA」より抜粋

P.S. 日本語版は全て削除されています。

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